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浸透するかな?

日本遺伝学会が用語の変更を発表しました。
優性遺伝・劣性遺伝という言い方をやめて
顕性遺伝・潜性遺伝とするとのことです。
そのココロは「誤解や偏見につながりかねない」から。
なるほど。
新しい用語は遺伝子の特性について、なかなか的確な表現だなと思います。

差別偏見を助長するということで変更された言葉は
色々あって、その背景はいくつかのパターンがあるようですが
もともと差別的な意味がない言葉でも、その対象が差別されることによって
言葉自体に負の感覚が宿るようになったために変更するパターンや
今回のように、もともとの漢字が持つ負のイメージによって
不快な思いをする当事者への配慮というパターン。

それとは別に女性メインだった仕事の名称の変更ありますね。
スチュワーデス、とか看護婦さんとか保母さんとか
こちらは日常的に誰もが接する機会が多いから
CA、看護師、保育士といった新語がすっかり定着しました。

また、昨日話題にした日射病→熱中症などは誤解回避系かな。

差別偏見に絡む用語変更については
私などはかつての言葉狩りが連想されます。
その言葉で呼ばれる人々の不快感に配慮するのは真っ当なことですが
問題は差別自体であるのに、発言者の意図にかかわりなく
その言葉を使ったかどうかのみに注目してヒステリックに騒ぐ層があって
昔は物議を醸すことがよくありましたが
この頃はそういう現象が殆どなくなりましたね。

これはメジャーな表現者の方が「面倒臭い」ことを認識したからかな?
特に放送業界は大変にナーバスで生放送などでは、相当気を使うみたい。
一般人も「こういう単語は使ってはいけないのだ」という考えが身についてて
不用意に発する危険性を認知してるんですね。
あとはSNSなどの普及で誰もが発信者となり、夥しい数の情報が溢れ
ツッコミどころ満載の表現が日々量産されているために
一部個々で炎上と鎮火が猛烈なスピードで繰り返されていて
すっかりお馴染みの日常茶飯事になっちゃったのかも。

言葉を抹殺したと同時に差別も消える!というのなら、万々歳ですが
そんな訳はありません。
おおっ広げに目にしないところで、脈々と続くものです。
私個人は社会の中で忸怩たる思いを抱える人間がいる限り
差別は無くならないんじゃないかと思います。
そして、日本は忸怩たる思いを抱える人間がいくらでもいるし
今後、なくなっていく兆しも見当たりません。

差別はいけません。いじめはいけません。というのは正論で
それに異を唱える事は大変に難しいのですが
その正論を掲げる者が一切の差別やいじめをしていないのかというと
疑わしきことこの上なしです。

とはいえ、世の中はいよいよ個性や属性を否定しない心掛けを強め
かつては蔑視の対象でしかなく、とてもカミングアウトできなかったことも
LGBTの方達のように一部は堂々と表明できるようになって来ました。
多様性を容認しようという雰囲気は多くの人に希望となると思いますが
その一方で差別は当面なくなることはありえないんでしょうね。
絶対無くならない、と言いたいところだけど、何事も絶対はないので。

いつの日か、SFのように完全なる管理社会が実現し、人間が判断力を失って
ひたすら管理者の指令に従ってロボットのように生きるしかないような時代が来たら
多分、差別はなくなるかなと思います。
誰もが心穏やかだろうけど、おぞましい事だと思います。
私が生きている間にそんな社会にならない事を祈ります。
多分、ならないと思うけど、日々、近づいているような気はします。

by kokuzo89 | 2017-09-08 04:38 | 徒然